たまには溶接技術の話でも

TIGのアークは電極の先端から出るのではない、と以前書きました(→ 「タングステン電極棒を磨く」 http://niwatadumi.at.webry.info/201009/article_5.html )。研磨した場合先端からではなく削られてできたテーパー部分から出るので、電極を針のように鋭く研磨して尖らせると、そのテーパーの面積が大きくなるためアークはかえって広範囲から出ることとなり、結果として拡散し溶け込みが浅くなる、というわけでしたが、今回はその応用編。

隅肉のTIG溶接にあたり、一発目に角をよく溶かそうとするのであれば、前述のことから電極を尖らせては逆効果です。尖らせないように鈍角に研磨するのがポイント。
ただ、いずれにしろテーパー部からアークが広がるということは、隅肉の開先側面を「L」の字で表すと、L字の角部よりも始端終端側にアークが飛ぶことになるわけです。したがって電極を思い切って角部に突っ込んでいくか、あるいは電圧を上げてアークを集中させる(水撒きの時にホースの先をつぶして水圧を上げ、勢いよく飛び出すようにする、あのイメージ)ことが必要になります。

この電圧を上げるってのはTIGや手棒においては一般的機械操作ではありません。普通は溶接機の方で電流調節し、それに電圧が追随するカタチ。
なお、半自動溶接では電流一定で電圧が高くなると「圧が高い」だけあってビードが平らになり(実際はパンチの威力が増すと言うよりはジャブの回数が増えるのですが)、電圧が低くなるともっこりしてきます。

また、TIGの場合はその定電流特性からアーク長が長くなると電圧も上がるのですが、電極を突っ込めばアーク長が短くなるため電圧が落ち…ということで、その電流値にちょうどいい頃合いの電極位置で作業できるかどうかが溶接屋さんの腕の見せどころかと思います。

でも手っ取り早いのは隅肉では突き合わせ溶接の電流値よりも高めに設定することですね。

ついでに言えば、管にSORFをくっつけるような隅肉では、パイプ側が薄くて放熱面積も広いので熱が逃げやすい。したがって熱を多く入れてやらねばなりません。熱、つまり電流を、この場合も高く設定するのです。

以上のようなことを考えつつ、今日は溶接施工要領書(WPS)を作ってました。明日はCADでフーセン飛ばす予定。





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