笠森観音(日本で唯一の四方懸造)

画像今日は建築構造のおはなし。何度も言いますが、日本の歴史に特に興味があるわけではないのです。
家族3人&茨城から泊まりがけで来ていた義父母とで、長生郡長南町にある笠森寺(公式HP→ http://kasamori.jp/ )を訪れました。hiwa嬢が5歳のころに一度連れてきたことがありましたが、彼女は石の階段を登りつめたさらにその先の岩山の上に聳える床高16mの観音堂を目にするまで、4年前のことなど忘れていました。でもさすがに日本で唯一の「四方懸造(しほうかけづくり)」。これは幼児にも強烈な印象を残していたようです。「ここ、来たことがあるね」と思い出してくれました。

「懸造」というのは、急な斜面や段差のある場所に建物を建てる場合の建築工法です。山側を通常長さの束柱、反対側を長い束柱で下方から支える構造で、たとえば京都・清水の舞台などがそうだと言えばイメージできますでしょうか。館山にある崖観音(→ http://niwatadumi.at.webry.info/200901/article_2.html )も同様で、別称である「懸崖造り」(けんがいづくり)という語の方が僕にはイメージしやすかったです。

さて、地元で「笠森観音」と称されているこの国指定重要文化財は、「懸造」に「四方」が付いています。そのものズバリ、四方すべてが長い束柱で下方から支えられているのです。まるで世界七不思議のひとつ、「バビロンの空中庭園」みたいですね。


画像聞いている分には特異な建築様式ではありますが、構造的にはラーメン(剛接骨組構造)です(木造ですけどね)。その接合は、61本の束柱を水平の貫(ぬき)でつなぎ、そのほぞ組み部には楔を打ち込んで緊結しています。急な階段途中から覗いた床下には鎹(かすがい)も殆ど見られませんでした。
ただし、束石はコンクリートブロックですから、文禄年間(1592年-1595年)とされる再建ののち、現代に入ってから補修されているのでしょう。





画像束柱の根元を見ると、なんとなく木の色の変わる境界線がありました。もしかしたら、もともとこの線より下は岩山に打ち込んであった、あるいは束柱用に岩山がコア抜きしてあり、コンクリートブロックへの変更補修時に束柱の収納痕が表出したのだろうか…などと考えました。とすると変更工事は柱一本づつ、根元の岩を崩し、根巻きコンクリートブロック化したのでしょうか…。

検査屋&工事屋の性まるだしでヘンな所ばかり写真撮影しているお父さんを尻目に、hiwa嬢は回廊を相変わらずのちょこまか振りで、じじばばにたしなめられ、おかあさんに叱られ、そのわりにはちっとも堪えていない様子。

君が大人になって家を建てる時、とても参考になることなんだけどね…。





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この記事へのコメント

2009年12月16日 17:47
こんにちは。これは確かに珍しい建築ですね。
どうしてこんな建てにくい場所に建てたのか・・・きっと理由があるのでしょうね。
niwatadumi
2009年12月16日 22:46
kunihiko_ouchiさん、こんばんは。
>どうしてこんな建てにくい場所に建てたのか

ワンゲルに所属していた貴方がそう聞くのですね。
とすれば答えは当然「そこに山があるから」でしょう(笑)。

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