さらに叩く(ガイド波の話)

タイトルが 團 伊玖磨 氏の「パイプのけむり」状態になってきました。叩くのも飽きてきたので脱線します。

僕が幼少のころのJR(国鉄)内房線は日に何本も電車が通りませんでした。遊びに出かけるにも近道と称して線路内を平気で歩いてました。さすがに石を置く遊びは大人に殴られる(「叱られる」の間違いではなく)のでやめましたが、鉄道レールを石で叩いた音がどこまで伝わるか調べる(?)とか、レールに耳を当て列車が近づいて来る音が聞こえてくるのを延々と待つ、なんてことは誰もがやりましたね。(やってませんか?僕らだけですか?)

まだ視界に入らないのに列車の走行音(車輪がレールを叩く音)だけが先にレールを伝ってくるように、波長より短い間隔の境界面(厚み)に囲まれたパイプ・板・棒・レールなどの媒質中を長手方向に伝わる音響信号、特に超音波の伝搬形態を「ガイド波」と呼びます。近年、プラント配管に代表される「長い構造物」の高速非破壊評価を行う手段としてクローズアップされるようになりました(非破壊検査の協会誌でも特集が組まれたことがあります)。

このガイド波をプラント配管に適用する場合を考えると…。

一般の超音波(バルク波)探触子を用いた配管の腐食検査(肉厚測定)は点測定のため検査計測の対象範囲全面の保温を撤去しなくてはならないし、検査用の足場を組む必要も出てきます。しかしガイド波は1つのセンサで配管軸方向に10m以上の範囲の探傷が可能で、センサ設置部近傍の保温を撤去するだけで計測可能、したがって時間も工数もお得、ということになっています。また、パソコン利用により客観的データ保存も可能だし、人が近づくことのできない場所でも遠隔からの検査が可能だったり、常設することでモニタリングにも適用する事ができる、ということになっています。(「ということになっています」が気になりますか?)

短所としては、たとえば曲がり管(エルボ)部分において波が大きく乱れてしまいエルボを超えた部分にある欠陥検出が困難であること,波動伝搬形態が非常に複雑であるためその波形処理も非常に複雑になってしまいデータも膨大な量となること、さらには現場は多様なノイズ環境下にあるためS/N比は良くないし当然欠陥検出分解能もイマイチであること、保温材被覆配管や地中埋設配管など高減衰条件下にある配管ではガイド波エネルギーが効率良く送受信できない、などが挙げられます。

短所の方が多い?そうなんです。それ以上に実はまだ高コスト。1日100万円コースです。ついでに言えば、実績が蓄積されていないせいで波形判断が検査屋さんによって異なる(無資格作業だし)、という大きな問題点もあります。まだまだ発展途上の技術なので仕方ないと言えば仕方ないのですが、その発展に協力するには企業に余裕がないというのが現実でしょうか。
でも、こんな難しい技術は現場作業者向きではない、というのが僕の考えです。現場は大学で工学をやってきた検査屋さんばかりではありません。僕のように普通高校卒、文系大学中退なんてのも珍しくはないのです…。

飽きたと言いながらガイド波を「叩く」つもりでしたが愚痴っぽくなりそうなので、今日はこの辺で。




下のバナーをひとつクリックすると「日本ブログ村」へジャンプし,同時にランキング投票となりますので,ポチっと応援お願いします。
にほんブログ村 科学ブログ 技術・工学へ にほんブログ村 その他日記ブログ ひとりごとへ にほんブログ村 PC家電ブログ ピュアオーディオへ

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック