これは「割れ」でしょうか

非破壊検査を行うにあたって必要な知識はいろいろあります。資格試験に出題されない、テキストに載っていない知識も求められることが多々あるのです。だから検査屋さんは年中勉強をしていないといけません。

今日は簡単便利と言われる浸透探傷をやりました。直径5/8インチ程のボルトです。


画像①数珠状浸透指示模様が出ていますね。疲労割れ?















画像②同じねじの根元では加工or研磨割れに似た指示模様。












さて、これらは割れでしょうか。


①は先端が丸め加工されているところに注目すれば指示模様の原因が推測できます。丸棒にねじ切りした後、端部を丸くした際にねじ山が押し曲げられて隣のねじ山に圧着されたのでしょう。開いた口がふさがったその狭い隙間に浸透液が染み込んでいて、除去しきれないために現れた模様と思われます。したがって割れではありません。

②は、ねじ切りの最後、刃物(おそらくダイス)が離れる間際でついた「むしれ」でしょう。凧揚げをしようとして糸を引っ張りながら走り出したはいいけれど風を捉えられず凧が地面を引きずってしまう、その凧が地面でバウンドしながら「ガッガッガ…」とぶつかる、そんな感じにダイスの刃が動いてできたひっかき傷。ということは加工きずには違いありませんね。でもこれは表面傷の一種であっても割れではありません。

こんなふうにちょっと見ただけでは割れと判断してしまいそうな模様は多々あります。でも判定を下す前に、検査対象がどんなふうに作られたか知っておく必要があるのです。

炭酸ガス半自動溶接されたSS鋼板溶接部をレントゲンしてフィルムに白い点が写っていたらタングステン巻き込みと判定するのも同様ですね。

ダイスも溶接も非破壊検査方法のテキストには出てきません。文系だった僕は学校でも習ったことがありませんでした。

次に生まれてくるときは工業高校で勉強したいと思うのです。で、工業系の専門学校へ進学して、非破壊検査屋を目指すのだ!(でも結婚は早めにしよう。)




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この記事へのコメント

ikegaya
2008年06月16日 12:31
非破壊試験に関わっているものとして、いつも興味深く見ています。
今回の「これは「割れ」でしょうか」も大変参考になる内容でした。
ただ、「炭酸ガス半自動溶接されたSS鋼板溶接部をレントゲンしてフィルムに白い点が写っていたらタングステン巻き込み」という文章は正しいでしょうか?
TIG溶接(タングステンイナートガス溶接)を行った場合に電極のタングステンが巻込まれてタングステン巻込みが発生します。イナートガスはアルゴンを使うと思います。
TIG溶接を行う場合、比較的高価な材料に適応することが多く、SS材にはあまり使わないと思うのですが。
確認してみてください。
まったく別の話ですが、音楽の話も読まさせていただきました。(最近このブログを知ったので古い記事を今頃見ました)
高中正義がまだ18歳ぐらいの時コンサートを思い出しました。フライドエッグというグループの解散コンサートでしたが、いまでも鮮明に覚えています。
天使
2008年06月16日 20:37
浸透探傷検査をもう少し楽しく出来ないものか最近考えています。水色の速乾式現像剤なんか作れば売れると思う。バックグラウンドが白だと反射光が多くコントラストが悪くなる場合があるし、実用的だと思う。洗浄処理をしなくても良い浸透探傷剤の開発(空気に触れると5分で固まり、べロンと剥がれるとかね)は有機溶剤中毒の防止に繋がる。
ところで、私は工業高校出身者で、最終学歴は平和台自動車学校ですが、理科系のセンスは皆目ございません。どちらかというと文化系です。次に生まれて来る時は工業幼稚園、工業小学校、工業中学で勉強したいと思います。
niwatadumi
2008年06月16日 21:04
ikegayaさん、コメントありがとうございます。
これは僕の表現がうまくありませんでしたね。ikegayaさんが指摘して下さったとおりの知識がないと、白いポッチを「タングステン巻き込み」と判定しちゃうよ、だから勉強しようね、という意図で書いたものなのです。逆に白点が何かと考えたときに、自現機のロール汚れとか水滴の付着だとかいろいろな要因も知っていないといけない、というわけです。
さて、音楽の記事も読んでいただけた由、大変ありがとうございます。今後ともご愛顧&ご意見、ご叱責下さい。
niwatadumi
2008年06月16日 21:34
天使さん、こんばんは。ご発案、会社として取り組んでみたら面白いですよね。でもPTは辛さの中に楽しみがあると思うのです。
さて、のんびりとしてる場合ではありませんよ。今頃悪魔さんは水力発電施設関連の緊急点検で大忙しではないでしょうか。
ikegaya
2008年06月17日 18:51
浸透探傷試験に関して少しコメントを送ります。
このボルトの件からは外れるのですが、読んでコメントをくださるとありがたいのですが。
それは、私のところではある時期から溶接部の探傷に関して、溶剤除去性をやめ、いわゆる水スプレーを用いた水洗性染色浸透探傷試験に替えたことです。
理由は2つあります。その1は、安全上の問題で、いくら検出能が高くても火災の危険と有機溶剤中毒を回避するためです。(現像剤に有機溶剤を含みますが浸透液や除去剤に有機溶剤を含まないのでリスクは小さくなる)その2は、溶剤除去性では溶接ビードの浸透液の除去で教科書通りウエスに少量つけて拭き取るというのはかなり困難でどうしても直接ビード面に除去剤を吹き付けてしまい欠陥内の浸透液も除去してしまうためです。
溶接ビードがあるときには、水洗性浸透液で水スプレーで余剰浸透液を除去する方が現実的で信頼性があると思うのですが?
音楽の話ですが、ガロ(「学生街の喫茶店」というようなヒット曲があった)が出てきたとき、コンサートでCSN(&Y)のコピーをやっていてかなり良かったことを覚えています。
niwatadumi
2008年06月17日 22:51
ikegayaさん、こんばんは。探傷剤については長くなりそうなので明日の記事(予定)ということで今夜はご勘弁ください。
「学生街の喫茶店」はうちのムスメ(7歳)も知っています。さすがにCSNYは知りませんが。僕は「学生街の…」のB面(こっちがA面だったか?)の「美しすぎて」が好きでした。

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