T継ぎ手隅肉溶接の融合不良

画像SS400鋼板T字形継ぎ手のCO2半自動による隅肉溶接部の断面です。回し溶接の部分をカットしたら融合不良が顔を出しました。

写真の垂直部材端部左側の穴が、融合不良。先行した溶接の層と次の層とが溶けていないのです。回し溶接部分に差し掛かって手元が狂ったのでしょうか。削りきれていない右側の隅肉も、もう少し回し溶接部分を削ったら同じような欠陥が出てくるかも知れませんね。

この部分は応力(を受け持つ)部材ではないので「完全溶け込み溶接」は要求されません。したがって水平部材と垂直部材の突合せ面は開先加工なしのドン付けで、溶かされず直線状に残っています。見た目は溶け込み不足ですが、これは欠陥とは言いません。

こんな具合にすべての溶接部が完全に溶け込むように溶接されているわけではないのです。力のかからない部分に頑丈な部材はもったいないですから。

したがってこの隅肉溶接は別段非破壊検査をやるような溶接部ではありません。やるとしても、表面検査だけです。

それでも、断面が三角形(扇形かな?)の隅肉溶接部分の寸法は設計上どれだけ、見た目はこんな具合、などと決めて、外観の目視検査は行われます。

削ったらたまたま表出した内部欠陥。この場合はガウジングして再溶接。(再入熱できない材料もあります。)

そんなこんなで気の抜けた溶接ですね。溶接管理技術者である僕としては、溶接士の技量評価を下げざるを得ません。



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この記事へのコメント

天使
2008年06月07日 13:02
さすが溶接管理技術者ですね、素人の私には
目から鱗的情報です。 そこで
「教えてえらい人」のコーナーです。
バカタン(CRT等縦型円筒タンク)の底板溶接部の金属(アルミ)溶射の上からMT(磁粉探傷試験)を実施した事例をご存知ありませんか。球形タンクの場合は事例に事欠かないのですが、バカタンの場合、消防法で許可されているのでしょうか?
天使
2008年06月07日 16:12
「教えてえらい人」その2
ちなみに磁粉探傷試験極間法では、きず高さ3.5以下とすると溶射厚さ200μmまで、きずを検出できます。従いまして膜厚200μm以下のバカタン底板溶接部が条件となります。
余談ですが、バカタンはJISの用語に規定されて無いみたいです。
天使
2008年06月07日 18:10
「教えてえらい人」その3
良く考えて見ると、バカタンはAs Weld(溶接部の余盛残し)だから溶射した場合、肝心の止端(母材と溶接部の境界)部の溶射膜厚が測定出来ない事に気付きました。しかも、溶接部の外観検査(VT、AT)が出来ません。それでも事例はあるのでしょうか。
niwatadumi
2008年06月07日 19:53
天使さん、専門的質問3連発を僕にぶつけるのですね。そちらにはf田くんというタンクのスペシャリストがいるのに…。
残念ながら僕にはわかりません。事例はしりませんが、「特定屋外貯蔵タンクの内部の腐食を防止するためのコーティングに関する指針について」(H6.9.1消防危第74号)とか「既存コーティングに関する指針」とか、こちら( http://www.city.yokkaichi.mie.jp/syoubou/download/screening_criterion.html )とかを検索して眺めると、コーティングの有無にかかわらず底部MTを要するのであればやらないといけない気になりますね。逆にMTやって磁粉がつかないところはコーティングの剥離部か?
止端部の膜厚?プローブが届く範囲ではいけませんか?外観検査?膜上からしかできないでしょう。
明日ゴルフから帰宅後に(!)調べなおしてみます。

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