袖ヶ浦在住非破壊検査屋

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help リーダーに追加 RSS 浸透探傷試験に思うこと

<<   作成日時 : 2008/06/18 21:37   >>

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ikegayaさんからいただいたコメントへのお返し記事です。

浸透探傷試験は、管理できる時間や温度以外はすべて検査員の経験や勘で進める作業です。それが良いか悪いかはともかく、少なくともISO時代にはマッチしていませんね。けれども操作がすべて手作業であるところからも、非破壊検査屋が技能者であり続けるための最後の牙城と言えないでしょうか。
超音波探傷は半分以上は装置まかせです。放射線透過試験もセットや現像に技は求められますが、他はキカイなしではできません。磁粉探傷も装置が半分。渦流探傷はプローブの引き手、ひずみ測定はゲージの貼り方あたりで技量が必要ですがやはりほとんどがキカイ頼みです。

ご指摘の通り浸透探傷には爆発・火災や溶剤中毒の危険が伴います。けれどそれを回避できるのも検査員の技のうちではないか、などと危険思想の持ち主である僕は思います。だから原発も否定はしないのです。

というわけで安全には細心の注意を払い、浸透液の染みたウェスはよく燃えるから現場では密閉できる専用のアルミケースにでも捨てる、なんてのは手順書でうたい、守らせないといけません。

低揮発性(高沸点)溶剤+灯油等の希釈剤(これは揮発しやすい)を溶媒とする浸透液は、ガソリンの臭いに抵抗がない僕にとって中毒の原因にはなりにくい。
洗浄(除去)液は有機溶剤中毒予防規則に該当するいろいろな化学物質が使われていますが、これは浸透探傷に限ったことではないですね。
僕は現像剤の方が酔っ払います。成分がアルコール類というせいもあるのでしょうか。ということは酒好きな人は現像剤スプレーにも強いのか?無機微粉末ではたいていの人はむせますが。
なので、現像剤スプレーを使う以上浸透液、除去液を水洗性に変えても中毒対策としては効果が薄いのではないかと思うのです。換気こそすべて、という感じです。

安全第一ではありますが、それを理由に検出能を下げるのはサービスの低下のような気がします。
水洗性浸透液の検出能は溶剤除去性と大差ないという意見もあり、今後この意見が業界標準になってゆくとは僕も思うのですが、僕がA社の材料で確かめた限りでは溶剤除去性に分があるように感じています。浸透性が勝るのではないかと考えていますが。でもメーカーは高価な水洗性の方を営業してくるでしょうね。

また、浸透液の除去が困難とのことですが、空拭きはしっかりやっているのでしょうか。浸透時間をきっちり取れば溶接ビードをごしごしやっても溶接割れは検出できます。機械加工面であればむしろ除去液不要な場合の方が多いでしょう。納期に追われてすぐに除去液を使うことの方が水洗性に変えることよりも僕にはコワイです。そして現像は濃すぎませんか?現像膜厚さ測定にはこんな方法(→ http://niwatadumi.at.webry.info/200702/article_9.html )もあります。これは管理できる技量です。

さて、記事を打ち始めてもう1時間になりかけています。1時間以内、と決めているのでそろそろ切り上げます。ブログ記事のために特別に取材や資料集めをしないので僕の思うところのみのコメントバックになり恐縮です。
今読み返してみましたが、やはり危険思想でしょうね…。




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コメント(7件)

内 容 ニックネーム/日時
コメントありがとうございます
最初に、私はあまりアルコールを飲まないので現像剤で気持ち悪くなる事が少ない訳ではありません。
換気が大事という事は、指摘のように最も重要なことと思われます。
また、溶接部に限ったことで言えば、表面が削除された溶接部やTIG溶接ではあきらに溶剤除去性の検出能に優位性があると感じています。さらに、機械加工がなされた機械部品に関しても溶剤除去性の検出能が高いです。
しかし、MAG溶接(多くはCO2半自動溶接)の溶接した状態のままでのPTでは、水洗性の方が安定して欠陥検出を行えると感じています。
理由は、直接水スプレーを吹き付けると、き裂開口部の浸透液がゲル化して内部の浸透液の過洗浄をある程度抑制するためではないかと考えています。
溶剤除去性では浸透液が溶解するので、直接適用するとき裂内の浸透液はなくなる。手抜きの作業でなくとも、溶接のままのビード状態では拭き取りだけでは疑似模様を減らすのは難しいと思います。
試験対象物及びその状態、設計上の要求事項、検出すべき欠陥、環境等を考慮して選択することになるのでしょう。
ikegaya
2008/06/18 22:11
ikegaya様、杜の都の暮らしはいかがでしょうか。
当方も、このところPTは水洗性を使用しております。ドレッシングがしてあるような溶接部や、シンプルな形状のものは溶剤性のものを使用し、ウェスの乾拭きのみとしています。
水スプレーは、溶接線に直接当たらないように、垂らす感じで使っています。

試験片は、タイミングが合えば客先の超音波洗浄機に入れてもらいます。保管は、のりの佃煮の壜にトルエンを入れ、どぶ漬けにしたままで保管しています。
yama
2008/06/18 22:39
ikegayaさん、yamaさん、貴重な情報をありがとうございます。こうした技術情報の交換こそ僕がこのブログをとおして検査仲間、とくに現場で汗を流している検査屋さんに伝えたかったことなのです。
今後も業務に支障のない範囲で技をお教えいただけるよう、お願いします。
ときにお二人は知り合いだったのですね…。長野にも営業所のある会社の関連でしょうかね。あ、業務に支障がありそうなのであえて聞きはいたしません。
niwatadumi
2008/06/18 23:40
いろいろコメントありがとうございます。
営業所は杜の都ですが、住んでいる所は杜の都ではなく今回の地震の震源地から30kmぐらいのところです。地震発生から余震が続いているのですが、あまり苦にしていません。(ちなみに体に感じる余震は火曜日ぐらいまで1時間に5回ぐらい、震度4ぐらいの余震は1日に2回ぐらいありました。このコメントを打っている際にも余震がありました。まあ、いい経験です。でも、大きな被害に合った人にはお見舞い申し上げるとともに一日も早い復興を願っています。)
あまり不安がないのは、40年くらい前に十勝沖地震で大きな揺れにあっていることと、住宅に関してはある程度信頼をおいているからです。
近年、住宅の安全性はかなり良くなってきていると思います
これは、長くこの仕事(非破壊試験)をしてきて、社会の安全性の向上に少しでも役立ってきたのではと思っています。

ikegaya
2008/06/19 00:11
大変勉強になりました。
有機用溶剤中毒防止に水洗性は大変有効ですが
検出性能が技量に影響される度合いが大きい欠点もあるのは、皆様方がおっしゃる通りだと思います。しかし、AS WELDの溶接部の場合、遅乾性溶剤洗浄剤を使用する手があります。遅乾性の為ウエスが濡れている時間が長く、溶剤が揮発しにくい利点があります。止端部の余剰浸透探傷液も一般材と比べれば除去し易いです。

ガロと言えばやはり「美しすぎて」ですね。
CSN&Yと言えば「ON THE WAY HOME」
ニールヤングは「OUT ON THE WEEKEND」です。
これは、ケン・メリのスカGのCMと似ています。
天使
2008/06/19 18:28
私も、溶接部の試験片で水洗性染色浸透探傷試験と溶剤除去性浸透探傷試験の比較をしたことがあります。
そのときのレポートでは、きずの検出感度では水洗性染色浸透探傷試験は溶剤除去性浸透探傷試験と比較して遜色ないという結論しました。
コントラストのよさでは水洗性の勝ち、余剰浸透液の除去に関する作業時間は、水洗性のほうがおよそ半分、という結論でした。
溶剤除去性はウエスでふき取る際に過除去になる危険性があり、作業者の判断と技能に大きく依拠する方法なのに対し、水洗性は、通説とは異なり、開口幅の狭い小さなきずに関しては過洗浄になりにくい方法であるとの感触を得ています。ここでいう「水洗性」は、水型エアゾール洗浄剤を用いた水洗性染色浸透探傷試験です。この洗浄剤はT社の専売になっているようです。
わたしも、40年前の十勝沖地震を道東のK市で体験しました。確か弓道の試合の最中だったと記憶しています。
ikegayaさん 近くにいたのですかね。
SUBAL
URL
2008/06/19 20:04
ikegayaさん、天使さん、SUBALさん、有益なコメントを寄せていただきありがとうございます。
先輩方(もしかして皆さん、団塊の世代では?)の意見を反芻して実務に生かしたいと思います。
詰まる所はikegayaさんのおっしゃるように「試験対象物及びその状態、設計上の要求事項、検出すべき欠陥、環境等を考慮して選択することになる」ということなんでしょう。試験対象物ごとに異なる現象を整理して「こんな場合はこの手法」という具合にフローチャート化するなんてのも面白いかも知れませんね。
探傷剤の話題についてはまた記事にすることがあると思いますので、その時はまたアドバイスいただけると幸いです。先輩方、よろしくお願いいたします。
niwatadumi
2008/06/19 23:31

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